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在である農村MPISの成功がある。行政地域のほぼ100%が加入しており、産業の振興や生活の改善のための町づくり、村づくりの手段として「地域情報チャンネル」を活用している。村議会の生中継や中学校の卒業式の放送など、住民が参加し住民が楽しむCATV放送が実現されている。また、自治省は1990年に(財)自治体衛星通信機構を郵政省と共管で設立し、衛星通信で地域の情報を全国のCATVに配信できる仕組みをつくった。91年にはおよそ1,400の市町村で運用され現在でも導入が進められている。また、大分県のように「ネットワーク型CATV構想」を打ち出し、地方分権、地方の活性化に活用しようとする所も現れている。

 

?@ 通信事業への進出

1993年12月、郵政省は「CATV発展に向けての施策」を発表し、CATVによる通信事業への道を開いた。94年には「CATVを利用した電話サービスの事業化ガイドラインについて」も発表されている。CATV電話が実現されれば、NTTとは異なる料金体系や地域の実状に応じたきめ細かなサービスが期待できる。事業者側からみれば新たな収入源の確保につながる投資であり、「通信サービスの提供は放送事業の2〜3割増しの投資で4〜5割増の収入増につながる」(伊藤忠商事)との見方もある。

また、電話線を介してインターネットを使用する場合、モデムの速度は最高でも28.8kbpsであるが、CATV回線を使用すれば10Mbpsと、けた違いに伝送速度が高まる。1996年10月、武蔵野三鷹ケーブルテレビは日本初のCATVインターネットサービスを開始した。10Mbpsの高速アクセス回線を使用してもユーザーが殺到すれば速度は落ちるため、武蔵野三鷹ケーブルでは企業用で256kbps、家庭用でも192kbpsを保証する方針である。また、現在実験中の設備の多くが下り帯域(ダウンロード)を大きく、上り帯域を小さくしているのに対し、武蔵野三鷹ケーブルは上り下りとも10Mbpsと対称型である。

通信サービスのメニューにはこのほか、VOD(ビデオ・オン・デマンド)、テレビショピング、遠隔医療システム、遠隔学習システム、セキュリティシステム、防災システム等多数ある。CATV事業者が通信事業を行うには、第一種通信事業者の許可を得る必要がある。1996年11月末現在で第一種通信事業の許可を得ているCATV事業者は16社に上っている。

 

 

 

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